積層痕でお悩みのあなたへ
「積層痕、どうにかしたい…でも何を使えばいいか分からない」
この記事では、ヤスリ&電動ヤスリを使って、積層痕を表面処理の仕上げ工程で綺麗に消すオススメの方法を、実体験ベースで解説します。
ビフォーアフターや注意点も詳しく紹介しているので、この記事を読めば仕上げに迷いません。
積層痕ができるしくみ
画像のようにノズルから吐出されたフィラメントはライン幅(≒ノズル径)×積層ピッチの積み上げで造形物を形作っていきます。そのため、ピッチ間ごとにスライスされた断面形状の変化によるピクセル段差がFFF/FDM方式の熱造形3Dプリンター特有の積層痕となってしまいます。

各ピッチ×角度の積層痕の段差の大きさは以下の画像の青い数字になります。
積層痕をツルツルの表面にするためにはこの大きさの段差の出っ張り部を削るか、へこみ部を盛る必要があるとイメージしましょう。
0.1㎜ピッチ×30°の積層痕形状

0.2㎜ピッチ×30°の積層痕形状

0.1㎜ピッチ×45°の積層痕形状

0.2㎜ピッチ×45°の積層痕形状

📌 この記事で分かること
- 積層痕を消すために必要なオススメの道具
- 実際の仕上がりと比較検証
- 積層痕を消すのにかかる労力
盛ることで積層痕を埋める方法については以下の記事でご紹介しています。

電動サンダー
ストロークサンダーとペンサンダーはどう違うの?
動作方式 | 主な用途 | 精密性 | 研磨力 | |
ストロークサンダー | ストローク運動(往復直線運動) 2–4 mm程度 | モールド整形・スジ彫り周囲・ミゾの研磨 | 高(特に局所加工に有利) | シャープ(局所的に削れる) |
ペンサンダー | 回転(円周運動)+微振動 0.3–0.6 mm程度 | 面出し・塗装前の表面処理 | 中 | マイルド(広範囲) |
ストロークサンダーとペンサンダーは、形状ではなく機能によって名称の使い分けがされています。
オススメの紙ヤスリ
貼り付けて使用するヤスリは神ヤスというスポンジ付き布ヤスリがオススメです。再利用可能ですし、スポンジが対象の曲面に追従してくれるので表面をきれいにヤスリがけすることができます。
神ヤスをカットしたものを先端アーバーというパーツに両面テープで付けて使いましょう。『神ヤス! カッティングタイプ』という裏が粘着面のもあります。
#120番でゴリゴリ削りはじめて#400~600番で仕上げるだけで十分きれいになります。

アルゴファイル ストロークサンダー アルティマ7 [ARTIMA7]
商品特長
簡単にやすりがけ出来る電動製のサンダーです。1,000〜5,000往復/分の前後ストロークにより面倒なヤスリがけが短時間でより精密に作業できます。作業内容に応じた振動数の調整&前後ストロークにより、隙間や奥まった箇所、狭いスペースの表面磨き等、3Dプリントモデルの繊細なモールドを潰さずに積層痕やブリッジ痕だけを綺麗に仕上げることが可能となっています。ペン型・前後運動・軽量・ACアダプター対応と機械・人体共に長時間稼働できるポテンシャルを備えています。
アルティマ7からは抵抗(負荷)によるストロークの減速を検知し、より多い電流を流すことによって力強いストロークを維持するフィードバック機能を搭載し、摩擦が大きく負荷が強い木工等の粗い番手でのヤスリがけにも対応可能になりました。
商品スペックは?

メーカー希望価格¥14,850円(税込)
アルティマ7 [ARTIMA7]
- サイズ:(最大) 30Φ× (全長) 187(mm)
- 重量:89g (本体のみ)
- 入力:AC 100-240V 50/60 Hz(ACアダプター)
- 出力:12V 0.5A
- 振動数:1,000~5,000 往復/分 (無段変速)
- ストローク:3mm(前後)
特記事項
- フィードバック機能
- ペンシルグリップ(滑り止めあり)
- 先端に紙ヤスリを接着して取り付けるタイプ
アルティマ7は先端アーバーの3Dデータが公式から公開されています。
用途に合わせた先端アーバーの自作も可能なので、3Dプリンターを持っている人には魅力的なポイントだと思います。

プロクソン(PROXXON) ペンサンダー PS10
商品特長
簡単にヤスリがけ出来る電動製のサンダーです。2,000〜7,000往復/分の左右ストローク(車のワイパーに近い動作)により面倒なヤスリがけが短時間でより精密に作業できます。バッテリー内蔵により後方が膨らんでいますが重量バランスが考えられておりさほど不便さはありません。コードにとらわれることもなくペン型で持ちやすく作業しやすいです。定格時間の20分は疲れることなく作業し続けられます。
PS10は最大毎分振動数とストローク長の大きさから、面を撫でるようにヤスリがけする際に効果的です。その際は精密作業に向いたペンを握るような持ち方ではなく握手するような持ち方にすると手首の負担も無く作業できます。
商品スペックは?

メーカー希望価格¥12,100(税込)
PS10 [PS10]
- サイズ:(最大) 26Φ× (全長) 190×55(mm)
- 重量:190g
- 入力:3.7V・2,600mAh(Li-ion)(充電式)MicroUSB Type-B
- 充電時間:3時間で4~7時間稼働
- 定格時間:20分(3~5回)(充電しながらの使用は非推奨)
- 振動数:2,000~7,000 回/分 (無段変速)
- ストローク:4mm(左右※車のワイパー状の動作)
特記事項
- コードレス(充電式)
- ペンシルグリップ(滑り止めなし)
- 先端に紙ヤスリを接着して取り付けるタイプ
プロクソン(PROXXON) ペンサンダーのラインナップにはコード式もありますが、PS10が上位互換品となっているため、プロクソン(PROXXON) のペンサンダーなら充電式のPS10にしましょう。

🔍 積層ピッチ0.2㎜の積層痕をヤスリがけして消せるか検証
アルティマ7で実際に積層痕をヤスリがけしてどのようになるか検証した結果が以下の画像です。
検証に使ったのは積層ピッチ0.2㎜、10°と20°の積層角で作成した試験片です。
この試験片の40㎜×20㎜のエリアを#120番手の紙やすりを貼り付けたアルティマ7でヤスリがけして、積層痕が無くなるまでの時間を計測しました。
結果は10°の積層角で7分、20°の積層角で5分かかりました。ヤスリがけした面は積層したことが判別できないほどきれいに一体化しており、触り心地はコピー紙のようでした。
積層の線に合わせた縞模様が見える箇所もありますが、さらにきちんとヤスリがけすれば無くなります。

より良いやすりがけのために
積層痕は△形状をヤスリがけで削り落としていくので最初ほど顕著に効果が表れます。削るほどさらにきれいにするために削らなくてはいけない表面積が倍化していくので、最初の2分ほどで大きな変化があり、以降はなかなか変化しないといった感覚になるでしょう。この現象を軽減するためにも積層ピッチを小さくしたりデータ作成時からケアしておくのが良いです。
また紙やすりの面積に対し削る量が多いので紙やすりが目詰まりを起こし切削能力が低減してしまうのも問題なので、紙やすりを先端アーバーごと水に付けて水とぎしてしまうのも有効です。
📝 まとめ
電動サンダー+紙やすりで積層痕はきれいに消すことができました。サポート跡の処理程度なら簡単に処理できますし、何より積層痕を無くすという選択肢が取れるのはFFF式3Dプリンターでは大きな価値があると思います。何十個もヤスリがけして積層痕をすべて落とすとなると大変ですが、1つなら簡単ですし一品ものとして作成するのはかなり現実的ですし、フィギュアの原型としてシリコンで型取りして複製なども併用すれば何十個も積層痕の無いきれいな造形物を手にすることもできます。
今回紹介した商品を使えば、誰でも15分でワンランク上の仕上げが可能ですので是非参考にしてみてくださいね。

これが私のマイベスト!迷ったらこの2つを買おう!
アルゴファイル ストロークサンダー アルティマ7 [ARTIMA7]はフィードバック機能で粗い番手でのヤスリがけにも強い!#120のヤスリで手早く均一に積層痕を削れば積層痕も怖くない!




ツヤツヤの仕上げ面を求めるなら#400以上のヤスリも併用しよう!
バリ取り回転リーマーもあると端面処理が便利!


盛ることで積層痕を埋める方法については以下の記事でご紹介しています。





安全には気をつけるんじゃぞ👍




一緒に折り畳み収納できる簡易塗装ブースもオススメ
やすりがけをめったにしないのであれば屋外で作業すればよいですが、今後頻繁に行いそうなら塗装ブースも用意した方が良いです。入門~中級者向けにはAusucの塗装ブースがオススメです。入門者レベルでは毎日使うわけではない塗装ブースに部屋の一角を占拠され続けるのは負担が大きいので、折り畳み収納が手軽にできて、手元証明や回転台、塗料ホルダーなどが一体になったこの商品がオススメです。さらに簡易的な塗装ブースは2000円台からありますが、換気と塗料の吹き返しを対策できるファン内蔵タイプが良いと思いますので、その中で最もコスパが良い商品がこちらです。新商品なのでレビューが付いていませんが、そのかわり期間限定の2000円OFFのクーポンがあり実質旧機種と同じ値段で購入できるのはチャンスだと思います。




旧機種はこちら。アマゾンレビューが227個も付いていてと高評価のベストセラー商品です。


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コメント一覧 (2件)
試験片の材質は何でしょうか?
記載漏れすみません。PLAです。Kexcelledのマットホワイトを使用しました。