3Dプリンターの購入を検討していて長く使える良いものをと考えているあなたはBambu Labの最新フラッグシップモデル「H2D」と、長年その地位を確立してきた「X1 Carbon(X1C)」の間で悩んでいませんか? 本記事ではあなたのニーズに最適な一台を選ぶために、両者の特徴と違いを重要ポイントに絞ってシンプルに比較しています。
初心者~中級者向けに短時間でBambu Lab H2DとBambu Lab X1 Carbonの違いを学ぶことができるのでそういった事に興味がある方は是非読んでいってください。
Bambu Lab H2Dの主な特徴

Bambu Lab H2Dは「パーソナル・マニュファクチャリングの再考」を掲げ、2025年3月にリリースされたBambu Lab史上最大の大型機種です。その注目すべき特徴は以下の通りです。
革新的なデュアルノズルによるマルチマテリアル・マルチカラー造形
Bambu Lab H2Dの最大の特長は、2つのホットエンドを搭載したデュアルノズル方式です。これにより、異なる色や種類のフィラメントを高速かつ効率的に切り替えて使用できます。従来のAMS(Automatic Material System)によるフィラメント切り替えで課題となっていた「poop(パージ材のゴミ)」を大幅に削減し、時間と材料の無駄を最小限に抑えることが可能です。特に2色プリントやサポート材を使用するプリントにおいて、その効率とコストパフォーマンスは飛躍的に向上します。また、TPUのような柔軟なフィラメントの保持とサポート材としてPLAのような硬いフィラメントを使用するといった特殊なプリントも容易になりました。
動画内容の要約
Bambu Lab H2Dは2つの独立ノズルとフィーダーを備え、カラー印刷時の材料切り替え(フラッシング)を最小限に抑えられるのが特長です。Bambu Studioが材料配置を自動で最適化し、効率よくスライスできます。AMSの現在の構成に合わせたスライスも可能で、手動でノズルごとの素材指定もOK。材料と時間を節約しながら、スムーズなマルチカラー印刷が実現できます。
広大な造形エリアと高速・高精度な造形性能
H2Dは最大350×320×325mmという広大な造形エリアに対応し、大型パーツの一体造形もスムーズに行えます。高速造形に最適化されたハイフローホットエンドを搭載し、サイズや形状に関わらず安定して600mm/sの高速造形が可能です。さらに、ビジョンエンコーダー(別売)と光学測定を組み合わせることで、50μmという超精密な動作精度を実現しています。

デュアルノズル時の造形サイズの制限について
左右に並んだデュアルノズルの構造上、左ノズルでしか造形できないエリアと左ノズルでしか造形できないエリアが各25mm存在するので、デュアルノズル時は幅320mmが最大造形サイズとなります。
左右ノズルに同一素材を使用し、両ノズルを用いて印刷することで造形サイズ350mm×320mm×325mmが実現可能です。
制限解除について
衝突によるヒートベッドの損傷を防ぐため、Bambu Studioのデフォルトの印刷可能高さは250mmに設定されています。また、折りたたみ式フィラメントカッターのストッパーは、出ている状態では印刷エリアの一部を占めます。どうしても印刷エリアを完全に使用する必要がある場合は、自己責任でWIKI記事に従い制限解除してください。

Bambu Lab H2DとBambu Lab X1 Carbonの総造形時間の比較
デフォルト設定でBambu Lab X1 Carbonの最大造形サイズの印刷(ノズル径0.4mm、積層ピッチ0.20㎜、材料PLA)を行う場合、総時間は2日と11時間2分となります。Bambu Lab H2Dでは2日と11時間21分となるので、単純な造形時間比較ですとBambu Lab X1 Carbonの方が19分早いという結果となりました。
単純形状による比較なのであくまで参考程度ですが、速度としてはBambu Lab H2DとBambu Lab X1 Carbon共に申し分なく、造形品質や最大造形サイズによる移動時間の差の方が造形時間に大きく影響していると考えられます。
アクティブチャンバー加熱と高温素材への対応強化
H2Dは、最大65℃のアクティブチャンバー加熱機能(庫内温度調節機能)を搭載し、反りやすいABS、ASA、PC、PAなどの高温材料のプリントに非常に効果的です。これにより、反りや変形を抑え、強固な積層密着性を実現し、高機能素材の性能を最大限に引き出します。ホットエンドの最高温度も350℃に達し、PPS-CFのようなスーパーエンプラも難なくプリント可能です。
多機能オールインワン:レーザー彫刻・切断、デジタルカッティング、ペンプロット
H2Dは単なる3Dプリンターの枠を超え、レーザー彫刻/切断、デジタルカッティング/プロットが1台で可能な「パーソナル・マニュファクチャリング・ハブ」です。10Wおよび40Wの455nmレーザー(オプション)で合板などの切断・彫刻ができ、デジタルカッティングやペン描画にも対応します。レーザーセーフティウィンドウや空気清浄機(オプション)、自動消火システム(オプション)など、安全機能も充実しています。
充実したセンサーとAI機能によるスマートな制御
H2Dは、36個のセンサーと4つのコンピュータービジョンカメラを統合した高度なAI技術を搭載しています。ノズルカメラによる押出監視、造形前の自動点検、知能化された押出制御、15個のセンサーによるフィラメントモニタリング、ヘルスマネジメントシステム2.0などにより、トラブルを早期に検出・対処し、安定した造形を実現します。
Bambu Lab X1 Carbonの主な特徴

Bambu Lab X1 Carbon(X1C)は、2022年にリリースされて以来、Bambu Labのフラッグシップ消費者向け3Dプリンターとして高い評価を得てきました。
コンパクトながらも高いプリント品質と速度
X1Cは、X軸とY軸でプリントヘッドが動き、ベッドがZ軸で上下するCoreXYモーションシステムを採用した密閉型プリンターです。3Dプリント愛好家からビジネスユーザーまで幅広く支持されており、優れたプリント品質と速度が特徴です。最大500mm/sのプリント速度と20,000mm/s²の加速度を実現し、非常に高速です。

Bambu Lab H2DとBambu Lab X1 Carbonの総造形時間の比較
デフォルト設定でBambu Lab X1 Carbonの最大造形サイズの印刷(ノズル径0.4mm、積層ピッチ0.20㎜、材料PLA)を行う場合、総時間は2日と11時間2分となります。Bambu Lab H2Dでは2日と11時間21分となるので、単純な造形時間比較ですとBambu Lab X1 Carbonの方が19分早いという結果となりました。
単純形状による比較なのであくまで参考程度ですが、速度としてはBambu Lab H2DとBambu Lab X1 Carbon共に申し分なく、造形品質や最大造形サイズによる移動時間の差の方が造形時間に大きく影響していると考えられます。
AMSによるマルチカラー/マルチマテリアル対応
X1CもAMS(自動材料システム)に対応しており、最大4つのフィラメントを自動で切り替えてマルチカラープリントを行うことができます。最大4台のAMSユニットを接続することで、16色のプリントが可能です。
AI監視機能を搭載
X1Cには、AIによるスパゲッティ検出やノズル詰まり検出機能が搭載されており、プリント中のトラブルを早期に検知します。Lidarセンサーによるフローレートと第一層の整合性検出も行います。
徹底比較:Bambu Lab H2DとBambu Lab X1 Carbonどちらを選ぶべきか?
機種名 | Bambu Lab H2D | Bambu Lab X1 Carbon |
---|---|---|
本体イメージ | ![]() | ![]() |
価格 | 高価 (約345,800円~) | 比較的安価 (約190,000円~) |
造形サイズ | シングルノズル: 325×320×320mm³ デュアルノズル合計: 350×320×320mm³ | シングルノズル: 256×256×250mm³ 制限解除時: 256×256×256mm³ |
本体サイズ・重量 | 大型 (492x514x626mm³, 31kg) | 小型 (389x389x457mm³, 14kg) |
マルチカラー/素材 | デュアルノズルにより、廃棄物と時間の大幅削減。TPUと他素材の併用が容易 | シングルノズルでAMSによる材料切り替え(パージ発生) |
(庫内温度) | チャンバー加熱アクティブ加熱 (最大65℃) | パッシブ加熱 (ヒートベッドの廃熱を利用) |
対応フィラメント | 広範囲 (PPS-CFなどのスーパーエンプラまで対応) | 広範囲 (ナイロン、ポリカーボネートなどのエンジニアリングプラスチックに対応) |
多機能性 | 3Dプリントに加えてレーザー彫刻/切断、デジタルカッティング/プロット機能を統合 | 3Dプリントに特化 |
静音性 | 55デシベル ※サイレントプリントモードで低減可能 ※モーターノイズキャンセル機能が優秀で静かな分ノズル切替時の「ガコンガコン」という音が気になるかも | 60デシベル ※サイレントプリントモードで低減可能 |
メンテナンス性 | A1シリーズで好評の「クイックスワップ設計」でノズル交換が工具不要。(約1分) エクストルーダーの分解は複雑 | コネクタの付け外しと六角レンチによる締結作業がありノズル交換に手間がかかる(約10分) エクストルーダーの分解は比較的容易 |
TPUの扱い | デュアルノズルでTPUと硬質材料の併用が可能。TPU単独の供給経路は工夫が必要 | AMSで標準TPUは使用不可(専用TPUは可能) |
AI機能 | AIスパゲッティ検出 プリントヘッドカメラによる押出し監視&ノズル圧力センサーによるフローレート校正 | AIスパゲッティ検出 Lidarセンサーによるフローレート校正 |
結論:こんな人におすすめ!
Bambu Lab H2Dは、以下のような方にオススメ
- 予算に余裕があり、最高峰の性能と多機能性を求める方。
- 最大級の造形サイズを必要とする方。大型パーツの製造や、複数のモデルを一度に効率よくプリントしたい場合に最適です。
- 多色・多素材造形を頻繁に行い、効率と品質を重視する方。特にサポート専用フィラメントや、TPUと硬い材料の併用を考えている方には、H2Dのデュアルノズルが革新的な体験をもたらします。
- 3Dプリントだけでなく、レーザー彫刻・切断、デジタルカッティング、ペンプロットといった複合的な制作を一台で完結させたいクリエイターや事業用途。試作品製作、少量生産、教育機関での活用など、多様なニーズに対応できます。

Bambu Lab X1 Carbonは、以下のような方にオススメ
- 予算を抑えつつ、Bambu Labの高速・高精度なプリント品質とAMSによるマルチカラー造形を手に入れたい方。X1Cは「性能を考えたら高いけど安い」と感じる方もいるほどのコストパフォーマンスです。
- 設置スペースが限られている方。X1CはH2Dよりもコンパクトで重量も軽いため、場所の制約が少ないです。
- 主に3Dプリントに特化し、レーザーやカッティング機能は不要な方。X1Cは3Dプリンターとしての基本性能が非常に高く、単機能でも十分な価値を提供します。

まとめ
H2Dはその高額な価格と大きな設置スペースを要求しますが、それを補って余りある「ロマン」と「可能性」を秘めたマシンです。あなたの創造性を次のレベルに引き上げたいのであれば、H2Dは間違いなくその投資に見合う価値があるでしょう。一方で、X1Cも依然として非常に優れた3Dプリンターであり、多くのユーザーにとって十分な性能と使いやすさを提供します。
最終的な選択は、あなたの用途、予算、そしてスペースの制約によって決まるでしょう。
これで快適な3Dプリントライフを!また何かわかったら共有するね。サラダバー!

安全には気をつけるんじゃぞ👍




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