フィラメントのサンプルを残すのに皆さんは何を使っていますか?3Dベンチーを使用したり各自でオリジナルのサンプルカードを作ったり、Bambu Labのスウォッチ形状を模倣したデータで作っている人などがいるみたいです。
私も先ほど挙げた手法を転々としてきましたが、今までの経験をもとに3種の良いとこどりをしたオリジナル製品を作りました。スウォッチカードといった感じのもので、アイデアとしては単純なものなのでMaker Worldにあるかなと探してみたのですが、意外となかったので自分で全部作りました。自信作ですので良ければ使ってみてください。

おすすめの使い方
まずは詳細説明の前にこんなことができるよ!というおすすめの使用法について紹介します。ピンとくるものがあったら詳細説明も見ていってね。

スウォッチカードは「スウォッチ×カードサイズのフレーム」で構成されており、好きな色、機能のスウォッチを自由に組み合わせられます。

シンプルで拡張性の高い作りなので、いろいろな拡張方法をご提案中です。

日本に住んでいて100均を有効活用しないのはもったいないと思いませんか?スウォッチカードは100均のいろんな商品を使えるように設計されています。

スウォッチを流用することで在庫管理用の「タグ」として使用することもできます。手が届く距離感でちょうど読みやすいフォントサイズを維持しています。

スウォッチホルダーは輪ゴムで取り付けられるので箱、スプール、真空パックとどんな形態にも取り付け可能です。
※6㎜幅の両面テープで保管ケースに貼り付けも可能です。
サンプル性能比較表
今まで使ってきたサンプル達の使い勝手の良い点悪い点を表にまとめました。
サンプル性能比較表 | ||||
項目 | スウォッチカード(自作) | Bambu Labスウォッチ系 | サンプルプレート | 3Dベンチー |
画像リンク | ![]() | ![]() | ![]() ![]() | ![]() |
特徴 | オリジナルスウォッチをカードサイズにまとめたもの 外周で固定することで情報量や取り回しが改善された | Bambu Labのスウォッチ形状をそのまま3Dプリントしたもの 海外シェアからMaker Worldに関連データが大量にある | 各自でオリジナルのサンプルプレート 設計思想の違いでいろんな形状がある | 3Dプリンターにデータ内蔵の普及率の高さ ブリッジや積層痕などが一通り確認できる |
フィラメント情報 | テプラで記載 詳細情報にQRコードでリンク | スライサーでテキスト押し出し | マスキングテープやテプラに記載スライサーでテキスト押し出し フィラメントに添付のシールを使用 | マスキングテープやテプラに記載別途タグプレートをボールチェーンで添付する |
厚みによる透過 | 0.4,0.8,1.2,1.6,2.0mm | 厚みスウォッチで確認不可 | ※0.2㎜刻みが多い | サンプルプレートによる不可 |
取り回しの良さ | 名刺サイズで市販ケースに収納やファイリング可能 | B4サイズのプレート形式が多い | 単語帳のようにカードリングでまとめる | 3Dベンチーのシルエットの穴が開いたプレートに差すなどで保管 |
印刷による詳細フィラメント性能 ブリッジ 光沢感 積層痕 造形精度 糸引き | 今後専用スウォッチを開発予定 | 不可 | サンプルプレートによる | 一通り確認可能 |
保管フィラメントの分類 | スウォッチを添付 | スウォッチを添付 | サンプルプレート | を添付不可 |
印刷前のフィラメント | フィラメントスウォッチ | 不可 | 不可 | 不可 |
フィラメント購入 | QRコードで販売ページへリンク | 不可 | 不可 | 不可 |
強度 | 左上の固定が破損しやすい |
スウォッチカードの設計コンセプト
表の通り、今まで使ってきた各種サンプルの良いところを取り込めるようなモノで、「今後も気軽に機能を拡張でき、自分の知りたい情報に合わせて機能を取捨選択できるシンプルなサンプルプレート」というコンセプトで設計しました。

基本構想
Bambu Labのスウォッチ系は色味の確認や材質の確認、プリント時や在庫補充時に確認したい情報がシンプルにまとまった良いサンプルプレートだと思います。海外でのシェアの多さから関連パーツのデータもMaker Worldに大量にあり、その設計資産は魅力的です。
しかし、その形状の大元は射出成型のサンプルプレートであり、3Dプリンターにその設計思想をそのまま持ち込んでは最適でない部分も生まれてしまいます。
例えば左上の固定穴部は3Dプリントするとスウォッチ側は細く印刷失敗や折れて保持機能を失いやすく、プレート側は円柱の積層面積が少ないため折れやすいという問題が生まれてしまいます。
以上からBambu Labのスウォッチの「スマートに情報がまとまったシンプルさと設計資産」が使えるようにスウォッチ系をベースとした形状としつつ、サンプルプレートや3Dベンチーの利点である情報量の多さを、拡張により追加できるカードサイズのサンプルプレートにしようと構想しました。
使用しているラベルプリンター
私が使用しているラベルプリンターはブラザー工業のPT-P910BTです。各社の性能を吟味したうえでこれがスウォッチに最適だと判断しました。ピータッチキューブの最上位機種なのでお値段はそれなりですが、本体の性能=ラベルプリンターの使用頻度に直結していると思います。
使いやすい周辺機器の設計も今後していきますのでお楽しみに!

私の実家と姉夫婦家がピータッチキューブのスマホ対応機種を所持しているのですが、アプリからの操作が面倒であまり使わなくなっていると言っていました。私はPC対応の最上位機種(PT-P910BT)なので文字を書いたテープが欲しいなと思ってから30秒でデータ制作から印刷完了まででき、今までマスキングテープや付箋を使っていた作業が全部ラベルプリンターに置き換わりました。
PCが使える人は必ずPCソフト対応機種のPT-P910BTかPT-P710BTにした方が良いです。
私が作成したテンプレートもご用意しましたのでお使いください。
ダウンロード手順
右クリック>名前を付けてリンク先を保存>~~.zipという名称(ファイル形式)で保存>解凍ソフトで解凍
※スウォッチカードでの使用サイズ
- ラベル幅18㎜×長さ23㎜(フィラメント情報)
- ラベル幅18㎜×長さ15㎜(印刷設定)
- ラベル幅18㎜×長さ18㎜(QRコード)
ハーフカット機能が付いているPT-P910BT以外は短い長さで作成できないので、別途トリマーが必要だと思います。




フレームの工夫
日本で安価に入手できる100均のアイテムとの親和性を高めたいと思い、名刺カードサイズにしました。
バインダーでファイリングしたり、トレーディングカードケースに入れたり、名刺ケースに入れたり、調味料入れに入れてホワイトボードにマグネットで貼り付けたりと各自の好みに合わせていろんな収納方法が選べます。
手になじみのある形状なので複数枚持つと思わずカードシャッフルしてしまう手触りの良さがあります。

フレームの上下に面取りを入れてます。面取りがあることによりカードケースに入れた時に指のかかりが良くなったり向きを揃えやすくなったりしています。
またファイリング時の収納ポケットに入れやすくなったりもします。

フレームとスウォッチの側面にV字状の突起&溝があり、これがBambu Labのスウォッチにおける左上の固定部の役目を持ちます。Bambu Labのスウォッチで感じた「折れやすい」「造形が失敗しやすい」といった課題を解決しつつ、パチンとはめ込む感触が気持ちよく、向きの制限も無くなりスウォッチの取り付け向きを90°回転させて縦表示、横表示が選べるようになりました。

拡張性を考えフレーム中心の枠は部分的に途切れています。そうすることで2コマ使った大きなスウォッチを使用することができ、より複雑な検証をスウォッチ化できます。画像では積層角度による積層痕の見え方のプレートを作成しました。
またフレーム自体の柔軟性も上がりスウォッチを固定する際のバネ性が生まれました。

スウォッチについて
Bambu Labのスウォッチ用モデルの使用
Bambu Labのスウォッチと外形サイズが同一なのでMaker Worldからスウォッチ用のデータをダウンロードしてプリントすれば使うことができます。Maker Worldに既にある設計資産が流用できるのでより自分の好みに合わせた運用ができます。

スウォッチの表記デザインコンセプト
表記は英語に統一しています。日本語にすると漢字、カタカナ、ひらがなと膨大な数の文字潰れチェックをしなくてはならず、アルファベットであれば52文字(大文字&小文字)だけで済むという作業量の問題と、海外標準の表記にすることで今後日本で販売されていないフィラメントに対応していくときの統一感を出したいからです。
実運用上は、裏面にあるQRコードで日本語名も書かれている詳細情報にアクセスできるので不便さは感じないと思います。であれば文字潰れせず見栄えの良いアルファベットの方がカッコいいよね! という考えです。
ラベルプリンターは必須ですか?
ラベルプリンターでの表記をおすすめしていますが、3Dプリンター単体表現では以下のようにできます(0.4㎜ノズル)。
マルチカラープリントすることで上段2つのような見映えとなります。文字色が黒になるので色の薄いフィラメントでも可読性が上がり、簡易的な透けチェックも可能になります。また裏面がQRコードになるので詳細情報にアクセスすることでスウォッチ1つから得られる情報量が跳ね上がります。単色プリントの場合は下段のようにツルツルの面になります。これはこれで使い勝手が良いです。

スウォッチ種類
現状では以下のような表現や検証が可能です。右下のスウォッチカードなどの「1作品に使ったフィラメントをまとめてファイリング」や、近似色をひとまとめにして肌色スウォッチカードを作るなんで使い方もおススメです。

名称 | 詳細情報 |
ムク | 特に何もないツルツルの表面。肌色のスウォッチを集めたスウォッチカードなどが便利 |
フィラメント | 印刷前のフィラメント。印刷せずに紐として編み物する人向け |
厚み | 時計回りに0.4,0.8,1.2,1.6mm、周囲の枠は2.0㎜で隣り合った厚みと透け感を比較しやすい |
QRコード | フィラメント情報へアクセスできる。推奨印刷設定や固有の注意点、販売サイトなどを載せる予定 |
ヒンジ | ヒンジが回転する隙間の検証用 |
スリット | スリット幅と印刷幅の検証用 |
サポート | サポート形状の比較用 |
傾斜 | 10°刻みで90°までの傾斜の積層を比較できる |
オーバーハング | 2コマ使用。オーバーハング(裏)と積層痕(表)検証用。造形後に熱湯で板状に矯正してます |
2コマムク | より詳細な情報を記載したり今後なにか拡張できるかも |
スウォッチホルダーについて
プリントデータにはスウォッチによるタグ付け用にスウォッチホルダーが含まれています。スリットに輪ゴムを伸ばしながら押し付けることでスリットから輪ゴムが入っていきます。


使用している輪ゴムはダイソーのワイドゴムバンド(幅3㎜、折径80㎜)です。家庭用でよく目にする輪ゴムより幅広で、スリットに入らなそうだな思うかもしれませんが伸ばしながらだと入ります。

入手性の良いダイソーではこれが一番良かったというだけで、折径80㎜以上にした方が使い勝手は広がるでしょうし、幅3㎜も5㎜に変更しても十分使えます。大事なのは組付け時の輪ゴムの幅です。
トラブルシューティング
サイズがスカスカorキツキツ
3Dプリンターの機種、キャリブレーション、電源ONしてからの累積公差ズレ、XYのバックラッシ量の違い、使用フィラメントの物性、吸湿状態などで同じデータでも印刷に差が生まれます。またすべての材質を確認できているわけではないので、スウォッチのハマりがうまくいかない時はスライサーでスウォッチの縦横幅を拡縮してください。スケールは±0.2~0.4%ほどで調整すると良いと思います。

反りが発生する
冬場など周囲温度が15℃以下だと反りが発生することがあります。その場合はビルドプレートの造形温度の設定を+10℃すると反らなくなります。※真冬のBambu Lab A1で反らなくなることを確認済み

スウォッチをフレームに付け外ししづらい
フレームの形状を見てもらえばわかる通り、スウォッチを固定しているのは長手方向にある突起です。突起は短手方向にはありません。スウォッチをこの突起に片方はめて、フレームを長手方向に引っ張りながらスウォッチを押すとパチンと付けることができます。
外す際も同様にフレームを引っ張ってください。
まとめ
どうでしたでしょうか?サンプルプレートはずっと同じ形状のものを使い続けなければいけないので、自分自身今まで踏み切れずにいたのですが、スウォッチカードならフレームさえ変えなければ自由に組み変えられるのでとりあえずイマイチなところがあっても差し替え対応でアップデート対応できるじゃん!他の人が作っているスウォッチ用のデータも使わせてもらえるし!といった感じで今まで使いながら改良を重ねてきましたが、ようやく私が満足いく内容に仕上がったなと判断し、公開させていただきました。これで快適なDIYライフを!また何かわかったら共有するね。サラダバー!

コチラからダウンロードできます!
試しに1回印刷してみてね!
ブログ管理人が数々のサンプルカードを渡り歩き完成させたオリジナルのスウォッチカードです。今後周辺機器も充実させていきますので、3Dプリンターで1度印刷してみるのはいかがでしょうか。





安全には気をつけるんじゃぞ👍




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